印堂 丈一郎の不可解な生活
「美味くねぇって…」

丈一郎はグールの腹に足をあてがい。

「言ってんだろっ!」

強引に蹴り剥がす!

彼も喧嘩には少しばかり自信がある。

幾ら相手が化け物とはいえ、このままやられっ放しという訳にはいかなかった。

何より、抵抗しなければ食べられてしまう。

訳の分からないまま、餌にされるなんて彼じゃなくても御免だろう。

「この野郎っ」

近くに置いてあった、ケースに収められた空のビール瓶を手に取り。

「くたばりやがれってんだ!」

丈一郎は思い切りグールの頭を殴りつける!

ビール瓶が割れて砕け散るほどに思いきり。

人間なら重傷を負いかねない威力。

それでもグールはケロリとしたまま。

「うああぁあぁぁぁっ!」

丈一郎の左腕に噛みついた!

< 13 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop