印堂 丈一郎の不可解な生活
そう考えていた矢先。

「む」

サーの高笑いが止まった。

さっき丈一郎に連打を叩き込んだ左右の拳に違和感。

見ると。

「……!」

サーの両手が重度の火傷を負っていた。

まるで硫酸でも浴びせられたかのように、皮膚が爛れている。

すぐに悟る。

「人間」

サーは倒れたままの丈一郎を睨んだ。

「何か小細工をやらかしたな?」

「へ…へへへっ…へっへっへっ…」

体をゆっくりと起こし、サーの連打のダメージを引き摺りながら。

「やってやったぜぇえぇぇぇ」

丈一郎は不敵に笑って見せた。

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