印堂 丈一郎の不可解な生活

何の事だろう…。

疑問に思っていた私の鼻に。

「…っ」

空気の僅かな流れに乗って、顔を顰めるような臭いが漂ってきた。

幾つもの、肉が腐った臭い。

死後数日から数週間が経過した、人間の腐乱死体の臭い。

そしてその幾つもの死体の中に混じっても尚嗅ぎ分けられるような、一際鼻をつく饐えた臭い。

「この臭いは…ベナル・ヨアキム・シュターセン…！」

遺跡で復活し、お爺ちゃんを犠牲にした不死の王（デミリッチ）。

サーを倒しにやってきた丈一郎達の妨害をするつもりなのか。

サーを倒すだけでも至難の業だというのに、その前にサーに匹敵する滅びの五人のうちの一人を相手する事になるなんて。