印堂 丈一郎の不可解な生活
調息使いとはいえ、己の半分も生きていない人間に生意気にも説教された事が癇に障ったのか。

「偉そうに抜かすじゃないか、脆い生命体風情が」

ズシン!と。

ベナルはその巨体を一歩踏み出した。

「そんなに直々の惨殺が望みなら叶えてやろう。発狂するほどの苦痛を以ってな!」

地面にめり込むほどの足跡を刻み込みながら、突進してくるベナル!

しかし。

「甘く見てるんじゃあないぞっ、ベナル!」

雪城が叫んだ。

同時に。

「何っ?」

その地面から雨後の筍の如く飛び出して来た無数の鍼が、ベナルの体を次々を貫通する!

雪城は最初の亡者達との戦闘中に、この無数の鍼を地面に仕込んでおいた。

そしてベナルが間合いに入ってくると同時に、罠を発動させたのだ。

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