印堂 丈一郎の不可解な生活
狂乱に任せて攻撃を仕掛けるベナルとはいえ、彼はただの豪放な武人ではない。

殺戮と虐殺に愉悦を感じる一方で、狡猾で謀略を図る一面も持ち合わせている。

化け物とは例に漏れず、人間をかどわかす一面を持っている。

そんな彼は考える。

この調息使い二人、さっき自分を罠に嵌めたばかりだ。

亡者達を始末しながら鍼の罠を仕掛け、ベナルに一杯食わせた。

ならば今とてそうだ。

こうして防戦一方のふりをして、実は何か企んでいるのではないか。

こちらに逆転の一撃を見舞う隙を窺っているのではないか。

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