印堂 丈一郎の不可解な生活
そして、それはベナルの読み通りだった。

いいように追い詰められているように見えた咢と雪城。

しかし気取られないように『ある位置』へ移動し。

「串刺しになれ、剣山に突き刺さる生け花のように」

雪城が呟く。

同時に調息を流し込むと。

「!?」

地面に落ちていた幾つもの鍼が、一斉にベナルの体を貫いた!

それはさっき、ベナルが自身の体から抉り取って投げ捨てた鍼。

雪城の調息を帯びた鍼。

磁力のような性質を持つ調息を帯びた鍼は、離れた位置からでも操れる。

既に打ち捨てられた鍼をも攻撃に利用する。

それが雪城の、策士としての一面だった。

それだけではなく。

「ぬぅっ!」

抉り取り、打ち捨てられたのは咢の手裏剣も同様。

咢は雪城と同じ要領で手裏剣をコントロールし、ベナルの両腕を切断する!

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