印堂 丈一郎の不可解な生活
それでも。

「ぬぅうぅぅぅうんっ!」

ベナルは止まらなかった。

チマチマした攻撃で歩を進める事を制する事は出来んとばかりに、まるで勢いを止める事なく突進してくる!

この攻撃は、ベナルにとっては予測済みだった。

予測できている攻撃は、覚悟さえ以ってすれば耐えられる。

それは戦いに身を置く者にすれば当然の事。

ましてやベナルは不死の王(デミリッチ)。

腕の一本や二本、欠損するのは日常茶飯事。

取り立てて騒ぐほどの事じゃない。

その程度で彼の戦意は喪失できない。

「腕がなければ肩のギロチンを使い、牙で食い千切って、貴様らを屠ればいい事」

左肩の巨大なギロチンを構えて、突進しようとしたベナルは。

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