印堂 丈一郎の不可解な生活
「ここまで来たか」

別段驚くでもなく、サーは振り向く。

その表情には笑みすら浮かんでいた。

全く動じていない。

三人もの調息使いが乗り込んできた事も、その三人が自分の命を狙っている事も。

サーは稀代の化け物だ。

命なんて狙われ慣れている。

そして殺し合いも。

相手はたかだか人間三人。

屠ろうと思えばいつでも屠れる。

そして時に、稀代の化け物であるサーをも追い詰める人間がいる事も知っている。

屠ろうと思えばいつでも屠れる人間だけど、サーは決して侮ってもいないし、油断もしていない。

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