印堂 丈一郎の不可解な生活
フラフラと、丈一郎達の方によろめく私。

その体を、咢が受け止める。

「だ、大丈夫かよ貴遊ぅぅうぅうっ、怪我ねぇのかよぉおおぉ」

鋭い眼をしていた丈一郎の表情が、私に向けられる事で柔和に戻る。

私が知っている、いつもの丈一郎の顔だ。

それだけ私の事を心配してくれてたんだ…。

その事が嬉しくて、私は思わずはにかんでしまう。

でも意外だ。

私を人質に取る事で、サーは丈一郎達との戦いを優位に進めようとすると考えていたのに。

「どういうつもりだ、邪悪」

私と同じように考えていたのか。

その行動に疑念を抱いた咢が、サーの顔を見る。

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