印堂 丈一郎の不可解な生活
「……!」

雪城の耳に、風切り音が届いた。

視線だけを走らせる。

いつの間に放ったのか。

そこには咢の投擲した手裏剣三枚が、高速回転しながら滞空している!

人間だった頃には調息で操っていた手裏剣を、化け物となった今では魔力で操り。

「詰みだ」

咢のその言葉と同時に、手裏剣は一斉に雪城に突き刺さる!

「がは!」

体を貫かれ、雪城はその場に崩れ落ちた。

深く深く突き刺さる手裏剣。

出血が酷い。

「…トドメは刺さん」

咢は冷徹な眼で雪城を見下ろした。

「すぐに楽にしてやると思うな。我が主に盾突く者として、苦しみながら失血死を味わうがいい」

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