印堂 丈一郎の不可解な生活
「俺には分かるぞ、雪城」

ゆっくりと、咢が歩み寄ってくる。

「貴様、調息を治癒に当てているな?出血を止め、肉体を回復させようとしているな?反撃に転じる為に」

咢の手にした刀の切っ先が、再び雪城に向けられた。

「俺も元調息使いだ。調息使いの諦めの悪さはよく知っている。使命の為なら命も捨てる馬鹿どもだ。ならば」

向けられた切っ先を、刺突の構えに。

「失血死はもうやめだ。一番激痛の走る場所に刀を突き立てて終わりとしてやろう」

それでも雪城が最も苦しむ方法で、咢は彼を屠ろうとしていた。

大きく振り上げる刀。

その切っ先が、まだ横たわったままの雪城に振り下ろされる!

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