印堂 丈一郎の不可解な生活
「わからんぜ、難しい事はよぉおぉ」

殴り倒されたサーを見下ろしながら、丈一郎は言った。

「だけどよぉお、喧嘩のセオリーはいつだって『親玉をぶっ潰す事』なんだぜ?雑魚なんて構ってられるかよ、この戦いで叩き潰すのはよぉおぉぉ」

丈一郎はもう一度拳を握り直す。

「テメェなんだぜ邪悪ぅううぅうぅぅっ!」

「丈一郎ッ!貴様ぁあぁあぁぁっ!」

拳を振りかぶった両者は。

「オララララララララララララララララララララッ!」

「ウギィィイィイィィイィィイィィィィイィイイッ!」

何度目かの拳の乱打の速さ比べを繰り広げる!

その衝撃で、古城の壁のあちこちに亀裂が走る。

調息使いと化け物の、常識を超えた戦い。

その戦いに、古城そのものが耐え切れなくなっていた。

やがて亀裂から古城は崩壊を始め、丈一郎もサーも、その崩落の中に巻き込まれる中。

「!!!!!!?」

私は見た。

足元が崩れて落下していくサーに対して。

「オラァッ!」

逃げる事も受け身をとる事も考えず、丈一郎が練り込んだ調息を込めた、渾身の左拳を心臓に打ち込む姿を。

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