印堂 丈一郎の不可解な生活
骨董品屋。

いまや開店休業扱いになっている店の扉を開けると。

「何処に行っていた、セシル・カイル」

店内には雪城がいた。

数日前の決戦での傷はまだ癒えず、包帯だらけ。

でも調息による治癒によって、少しずつ回復してきている。

「貴様は俺達調息使いの監視下にある。無闇に出歩くな。逃亡と見做して散滅させるぞ」

冷たい口調で言う雪城だけど、きっと彼はそんな事しないと思う。

あの決戦の時、私がサーの味方をして丈一郎達に攻撃する事をしなかったから。

害意がないと分かった以上、簡単に殺したりはしないと思う、多分。

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