印堂 丈一郎の不可解な生活
丈一郎が目覚めると、冒頭のような有様になっていた。

別に彼を人質にして、身代金をせしめようって訳じゃない。

私達、誘拐事件の犯人じゃないもん。

目覚めた途端にウーウー唸る丈一郎に対し、お爺ちゃんは一言一句、まるで噛んで含めるみたいに説明した。

「これは調息法の修行の一環でね。手取り足取り教えるような事はしない」

調息法は、つまり呼吸法の事。

特殊な呼吸法によって血液中のエネルギーを練り上げ、肉体の末端部に蓄積する。

即ち調息法とは、まず呼吸ありきという事。

呼吸法を身に付ければ、常人離れした身体能力を発揮できるし、化け物にだって通用するようになる。

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