印堂 丈一郎の不可解な生活
二日目の夜。

食卓を囲みながら、私は聞き耳を立てる。

物置から、まだ丈一郎の唸る声が聞こえる。

ホント体力有るなぁ、アイツ。

二日間ずっと唸りっ放しだ。

「心配かね?」

私の気持ちを見透かすように、お爺ちゃんが箸をすすめながら言った。

「大丈夫だ貴遊。彼のあのしぶとさ、タフさは調息使いに欠かせないものだ。呼吸は生きる事の基本。生きる事とは諦めない事、しぶとく強かである事。彼は強い。いい調息使いになる」

「……別に心配はしてないけどね」

私は唇を尖らせて、食事を続けた。

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