印堂 丈一郎の不可解な生活
そんな難しい理屈が、チャライ丈一郎に理解できる筈もなく。

四日目の朝を迎えた。

もう四日も、何も食べていない。

何も飲んでいない。

空腹と疲労で、修行どころじゃない筈。

本当にただの拉致監禁になってきた。

「貴遊」

ロッキングチェアに腰掛けていたお爺ちゃんが、パイプを吹かしながら言う。

「丈一郎の拘束を解いてやれ。そして通りの真ん中に放り投げておきなさい」

「えっ?」

私は思わずお爺ちゃんの顔を見た。

「猶予はお前が物置の扉を開けるまでの間だ。それまでに丈一郎が調息を身に付けていなかったら、彼は不合格だ。自由にして打ち捨てろ」

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