印堂 丈一郎の不可解な生活
…そう思いつつ、一週間が過ぎて帰って来たお爺ちゃんと丈一郎。

丈一郎は見違えていた。

金髪に染めていた髪は色が抜けて真っ黒になり、頬もこけて痩せたように見える。

痩せたのは頬だけじゃない。

よく言えば引き締まった、実際の所は削り取られたような全身。

どんな修行をしたら、一週間でこんな体になっちゃうんだろう。

「そりゃあおめぇ」

丈一郎は、心の底から溜息をつく。

「酸素の薄い山の上でよぉお、生き埋めにされた状態から自力で脱出して、山道を全力疾走した後に川を泳いで渡って山小屋に戻らなきゃ、近くをうろついてる熊に襲われちまうなんて状況に陥りゃあよぉお、嫌でもこんな風になっちまうぜぇえ」

成程、納得。

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