印堂 丈一郎の不可解な生活
不可解なミイラ
その日の夕方のニュースで、それは報じられた。

とある遺跡で、凡そ数百年前のものと思われるミイラが発見されたのだそうだ。

国内最古のものと思われるそのミイラは男性で、全身に深い傷跡が刻まれており、識者の間ではそのミイラは罪人であり、刑罰や拷問の類を受けた末に『未来永劫の見せしめ』としてミイラ化させられたのではないかと言われているらしい。

全身に、拘束された際に付けられたと思われる鎖や杭、拘束具が残されていて、それはそれは苛烈な責め苦を受けていたと思われるとか。

ミイラは棺に納められていたらしいけど、何ぶん古いものだ。

棺の各所に隙間があって、ミイラの保存状態はあまりよくないらしい。

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