印堂 丈一郎の不可解な生活
さて、そんな丈一郎、相変わらずの飄々とした足取りで通りを一本外れる。

ネオンが光り輝く煌びやかな繁華街も、一本逸れるとすっかり暗闇だ。

寂れたスナックや飲み屋が軒を連ね、酔い潰れたサラリーマン達が千鳥足だったり、電柱の陰で吐いてたり。

ちょっと私は足を踏み入れ難い領域。

丈一郎はそういうの気にならないらしく、フラフラ歩いて行く。

まぁこの出で立ちだから、喧嘩とかも自信あるんだと思う。

事実私と出会った時まで、喧嘩は負けた事なかったっていうし。

夜道で怖い人に出くわしても、何とかできると思っているんだろう。

相手がヤクザだろうと、チンピラだろうと、警察官だろうと。

暴力で解決するっていうのは感心しないけど、その点だけは私も丈一郎を信頼してる。

だけど。

その相手が、『ヤクザやチンピラや警察官以上』だったら、どうなんだろう。

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