印堂 丈一郎の不可解な生活
そんな私の当惑を他所に。

「ヘイ化け物っ!」

丈一郎がベナルを指差した。

「何日風呂に入ってねぇんだか分からねぇようなキッツイ体臭漂わせやがって!汚ぇにも程があるぜこの野郎!寝る前に風呂と歯磨きくらい済ませろって母ちゃんに教わらなかったのかテメェッ!」

「……」

ギロリと。

ベナルの白濁した眼が丈一郎に向けられる。

「貴様は?」

「印堂 丈一郎様よ!テメェみてぇな不潔極まりねぇ化け物に調息ぶち込んで、世界中の皆をハッピーにしようってハンサムな正義の味方様よ!」

ビシッ!とポーズを決めて、名乗り口上をのたまう丈一郎。

コイツには緊張感ってものがないのかしら。

「…いつの時代も、お調子者という奴はいるようだな…そしてそういう奴から…」

ベナルは右腕にぶら下がっている、拘束具の名残である太い鎖を振りかぶった!

「真っ先に死んでいくのだ」

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