印堂 丈一郎の不可解な生活
その夜、丈一郎は出遭ってしまった。

その、『ヤクザやチンピラや警察官以上』に。

電柱の横に纏められた、ゴミ袋や青いポリバケツ。

そのゴミ捨て場で、誰かがしゃがみ込んでいる。

最初は吐いているのかと思ったらしい。

飲み過ぎて、気持ち悪くなった。

この街の夜ではよく見かける光景。

でも、どうも様子がおかしい。

何かを咀嚼する音がする。

ゴミを漁っている?

ホームレス?

それにしても、その人の身に付けている衣服…血塗れだ。

「おい…そこのあんた」

気になって声をかける丈一郎。

ゴミを漁っていた人物の動きが、ピタリと止まった。

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