甘い彼。
「桃はなんであそこにいたの?」


手を引かれながら歩いていると質問してきた奏さん。


「……私は…裏切ってない…」


そうだよ、私、愛乃をいじめてなんかない。


…いじめてなんか…ないのに…。


「今じゃなくてもいいんだよ」


頭をよしよしと撫でてくる奏さん。


それが心地良かった…。


「着いたよ、ここが俺の家」


お城かと思うほどの大きな家。


中に入ると男の子が1人いた。


「兄さん、お帰り、後ろの子は誰?」


「おー!奏お帰りー!」


階段から降りてきた赤髪の男の人。


「ただいま望月、秋良」


眼鏡をかけて奏さんを兄さんと呼んでいるのは望月-ミツキ-さん。


元気で髪を赤く染めているのは秋良-アキラ-さん。


「拾った、名前は野々宮 桃羽」


私は拾われたの…?
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