立花課長は今日も不機嫌
「えっ、あ、うん……」
沙月の一言に過敏すぎるほど反応する私。
単なる会社の先輩。
立花さんのことを話しているだけなのに、自分のことのように反応してしまう。
……いったい何なの、私。
どうかしてる。
……しすぎてる。
「杏奈? 何だか様子が変だよ?」
煮玉子を箸で持ち上げたまま固まる私。
「へ、変じゃないよ、別に。ふつうふつう」
自分に言い聞かせるように呟く。
それでもやっぱりおかしいらしい。
スルンと箸から滑った煮玉子が、テーブルをコロコロと転がってしまった。
「あっ……」