立花課長は今日も不機嫌

「この前の夜はすみませんでした」

「い、いえっ、僕の方こそ……」


しきりに頭を下げる。
人の好さが滲み出た笑顔を見て、何だかホッとする。


「とにかく、こちらへどうぞ」


空いているテーブルへ案内した。


「昨日も来てくれたって聞きました」

「あ、そ、そうなんです。……いや、お恥ずかしい……」


そう言って、またもやハンカチで額を拭う。


「この中、暑いですか?」

「いえいえっ、暑くなんて全然。ここはもう快適です、はい。これはその……癖のようなものでございまして……」


私の視線に気づいてハンカチを慌てて胸ポケットへと押し込む。
そして、ちょっとバツが悪そうに肩をすくめた。

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