立花課長は今日も不機嫌
別のグラスで水割りを作り直すと、それを立花さんへと差し出す。
立花さんはそれを表情も変えずに受け取った。
……なんか怖い。
霧子さんに寄り添われれば、たいていの男の人はデレっと鼻の下を伸ばすのに、立花さんときたら、霧子さんの色香には一切惑わされないようだった。
「おい」
お、おい!?
え?
わ、私?
存在を消そうと身を潜めていたつもりでいると、立花さんが霧子さんを通り越して私を呼ぶ。
「は、はいっ」
思わず伸びる背筋。
それは、背中に定規でも差し込まれたようだった。