立花課長は今日も不機嫌

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「杏奈さ~ん、こっちこっち」


会場に入るなり、入江くんが私を呼ぶ声が聞こえる。
見渡すと沙月と二人、ぴょんぴょん飛び跳ねながら私に手招きをしていた。


「遅かったじゃない」

「ごめん、行こうと思ったところでデータの不具合を見つけちゃって」


沙月が目を瞬かせる。
どうして沙月が驚いた顔をしているのか、その理由は分かってる。

見つけなかったことにしてしまおうかと思って、一旦は帰り支度をした私。
けれど、良心の呵責に耐えかねて、再びパソコンを立ち上げたのだった。


どうも最近の私は、今までと違う。
仕事にきちんと向き合おうとは思いもしなかった。

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