立花課長は今日も不機嫌

けれど、そこで頷けば良樹さんを悪者に仕立ててしまいそうで、グッと堪える。


「ったく……。それで、佐伯はそれを信じたわけだ?」


……ここは頷いても大丈夫だろうか?
考えながら首を縦に振る。


お兄さんである良樹さんから言われれば、信じない方がおかしい。

飲まない=体が受け付けないじゃなく、飲まない=危険行動だという、その前の会話の流れからしても、それを嘘だと見破るのは私には至難の業だ。


「で、俺がキス魔だったとして、佐伯にとって何が不都合なんだ」


ハッとして立花さんの顔を見上げた。

いよいよ核心に迫った質問をされて、心臓が飛び上がる。


思ったよりもすぐ近くに立花さんの顔があって、今更ながら密室に二人きりだということを強く意識してしまう。

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