立花課長は今日も不機嫌
「……そ、それは……」
早鐘を打ち始める鼓動に合わせて、顔の温度も一気に上昇。
緊張がマックスに到達しようとしていた。
「それは?」
「……か、勘違いです、立花さんの勘違い」
「勘違い?」
思わず出た立花さんの常套句に、訝しげな表情をする。
「べ、別に私に不都合は何一つないです、はい……」
そう誤魔化すより他に手立てが見つからない。
それでもまだドキドキは収まらなくて、胸に手を当てて別の生き物と化した心臓を宥める。
心なしか、立花さんの目がさっきよりもトロンとしてるように見える。
「勘違い、か」