立花課長は今日も不機嫌
――嘘、寝てるの……?
勘違いは私の方だ。
抱き締められると思ったなんて……恥ずかしい。
でも、どうして?
具合でも悪い……?
そう思ったものの、苦しそうに顔を歪めることもなければ、呼吸も安定している。
何が起こったのか全く分からないまま、すっかり寝入ってしまった立花さんを腕に抱く。
誰かを呼ぼうかと思ったものの、あらぬ疑いをかけられても困る。
それはそれで立花さんに迷惑をかけてしまうだろうと諦めた。
不自由な状態のままバッグを探り、財布を取り出す。
確か、ここに入れたはず……。
――あった。
財布のポケットから名刺を取り出し、今度は携帯を手に取った。
『はぁい、いつもあなたの心のそばに。ブルースカイでございまぁす』
数回のコールの後、オネエ口調の良樹さんが出た。