立花課長は今日も不機嫌
会社の上役が来店しただけでいっぱいいっぱいなのに、それが意地悪だと判明した立花さんだったのだから。
気付かれなかったことだけでもよかったと思うしか、この恐ろしさを止める手立てを見つけられない。
「もう来ないといいな」
思わず呟いた一言に霧子さんが微笑む。
「そういう客こそ、また来たりするのよね」
疲れがドッと増すセリフに肩を落とすと、霧子さんは励ますように私の背中を優しく叩いた。
どうか、もう来ませんように。
そう願うばかりなのだった。