立花課長は今日も不機嫌

「コーヒーくらいでこの世で一番幸せみたいな顔をするとは、佐伯は安い女だな」

「や、安いだなんてっ」


カップを持っていない手でつい拳を握ったものの、その手を立花さんに突き出す勇気はない。
とはいえ、軽く睨むことくらいは最近の私にも出来るようになったのだ。

精一杯の力を込めて目を向けると、そこには――……


予想外に立花さんの優しい笑顔があった。


不意打ちも不意打ち。
そんな表情を向けてくれるなんて思いもしていなかったから、鼓動がトクンと揺れる。


「なんだ?」


一時停止状態に声を掛けられて


「いえ、あの、その、」


必死で話題を探す。

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