立花課長は今日も不機嫌
突っ立ったままでいる私に気付いた2つ後輩の入江くんの一言に、心臓が口から飛び出るんじゃないかと思うほど驚いてしまった。
「どうかしましたか?」
絶句している私を入江くんが心配そうに見上げる。
「……あ、ううん」
慌てて手をひらりと振ってみるけれど、動揺は隠しきれなくて、下ろそうとしたその手をデスクの角にぶつけてしまった。
――っ。
……地味に痛い。
「大丈夫ですか?」
「う、うん……」
立花さんから呼び出しをされるなんて、勤続5年、今の今まで一度だってなかった。
心当たりがあるとすれば、夕べのプリマベーラでのバニーちゃんくらいで……。
いやな予感しかしない。