立花課長は今日も不機嫌

「立花さんの字がすごく好きなの」

「え?」


沙月は更に不思議そうに首を傾げた。


「……その感覚が何だかよく分からないんだけど。それじゃ、立花さん自身のことが好きってわけじゃないってこと?」


首を横に振る。


「立花さん本人のことが好き」


素直に言ってしまってから、カーッと頬が熱くなった。


厳しさの中、たまに見せる優しい眼差しに何度ドキッとさせられたか。

辛口なことばかり言う立花さんだけれど、そこに悪意がないことを知るごとに、もっと近づきたくなった。

立花さんのいろんな顔を知るたびに、どんどん想いが膨らんだ。


そんなことを考えていると


「幸せそうな顔しちゃって」


沙月が私の頬を軽くつねった。

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