立花課長は今日も不機嫌
トクトクトクと鼓動がスピードを上げていく。
「……ちょっと行ってくるね」
重い足を何とか前に出して、ミーティングルームの前まで着いた。
もう中にいるのかな……。
ノックもせずにドアをそーっと開けて隙間から中を覗くと――……
――ひゃっ!
ほんの数ミリの隙間で、立花さんとバッチリ目が合ってしまった。
思わず勢いでドアをパタンと閉めると、中から「何をしている」と地を這うようなおぞましい声が聞こえてきた。
その声に、昨夜同様縮み上がる。
かといって、そこから逃げ出すわけにもいかず、再びドアを開けて、「失礼します」と恐々中へ入った。