立花課長は今日も不機嫌
②真実が明るみになるとき
やっぱりこれはきちんと返そう。
親の借金のことも嘘だと正直に話した上で、誠心誠意謝ろう。
そう固く決意して、仕事を終えた私は、立花さんのマンションへと来ていた。
けれど、定時であがった私より早く立花さんが帰っているはずもなく、念のため押してみたインターフォンは、やっぱり応答がなかった。
仕方なしにマンションのエントランスまで戻って、そこで待つことに決めたものの……。
立花さんが帰らないまま刻一刻と時間ばかり過ぎて、プリマベーラへ行かなければならない時間になってしまった。
自分のまいた種を早いところ刈り取って解決したい。
正直に話したところで呆れられることに変わりはないと思うけれど、嘘を吐いている時間をできるかぎり短くしたかった。
お店が終わってからメールしてみて、立花さんの都合が良ければ帰りに寄ることにしてみようか。
後ろ髪をひかれる思いのまま、その場を後にしたのだった。