立花課長は今日も不機嫌

――――――――
 ――――――

「……んな! 杏奈ってば起きて!」


身体を揺り動かされる感覚と私を呼ぶ声に、重い瞼をこじ開ける。

ゆっくり焦点が合うと、そこには霧子さんがーーーー。


ハッとして身体を起こす。
夕べ、あのまま眠ってしまったらしい。

霧子さんの眠るベッドに突っ伏していたせいで、身体のあちこちが痛かった。


「身体の方はどうですか?」

「これのおかげかしら。すっかり調子がいいみたい」


点滴が刺さったままの左腕を持ち上げて、霧子さんが笑った。


よかった。
顔色も良さそうだし、笑顔もいつも通りだ。


「それより、ほんとごめんね。こんなところまで付き合せちゃって」

< 201 / 412 >

この作品をシェア

pagetop