立花課長は今日も不機嫌

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始業開始時刻と同時になんとか滑り込み、デスクに着いて息の上がった呼吸を整える。


「今日はいつにも増してギリギリですね、杏奈さん」


ニヤニヤと笑う入江くんに言い返そうにも、息が苦しくて言葉が出てこない。
さすがに、駅から会社まで全速力で走ったせいだ。

とりあえず、軽く睨むことで牽制してみた。


結局、夕べは立花さんにお金を返しそびれてしまった私。

あそこで眠りこけずにちゃんと病院を出ていれば、返すことができたはずなのに……。


今日、時間を見計らって立花さんを呼び出そう。
もう何度目かになる決意は、今度こそ全うしたい。

激しい鼓動を宥めながら、パソコンを立ち上げた。


そして、内線電話が鳴ったのは、つい後回しにして溜めてしまった顧客リストのチェックに追われている最中のことだった。

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