立花課長は今日も不機嫌
「杏奈、ちょうどお昼になったし、一緒にランチでもどうだい?」
「ごめん、ちょっと仕事が」
呑気に親とご飯を食べている場合じゃない。
一刻も早く立花さんに謝らないと。
「そう、残念ね。それじゃ、夜にでもまた連絡しようかね」
「うん、そうして。ごめん」
そう告げると、一目散でエレベーターを目指す。
上の階からなかなか下りてこないエレベーターに焦りが増していく。
上を向いた矢印ボタンを連打したところで、早く到着するわけでもないというのに。
そうでもしていないと、気持ちだけが一人で転がり出してしまいそうだった。
立花さんのいる3階へ到着すると、人事部を真っ直ぐ目指す。
ノックしてドアを開けると、そこに立花さんの姿はない。