立花課長は今日も不機嫌

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社員食堂の賑やかさを避けたくて、私は人のいない休憩室に沙月と二人で来ていた。


ここで普段からそうしているように、私が作ってきたお弁当を広げる。
とはいっても、今朝はいつものようにおかずたっぷりという気分にはなれず、おにぎりとサンドイッチだけだった。



「何かあったの?」


沙月に尋ねられて「どうして?」と質問で返す。


「だって、いつもとあまりにも違うから」


表情や態度じゃなくお弁当の出来具合で気付くなんて、ちょっと友達失格じゃないかと思ってしまう。

でも、そう感じるのは、病んでいる私の心のせいだとすぐに思い直す。


「もしかして、立花さんと何かあった?」


そこは敏感に感じ取ってくれたらしい。
沙月が私の顔を心配そうに覗き込んだ。

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