立花課長は今日も不機嫌

「今、立花さんの話してました?」

「えっ?」


入江くんのセリフに思わずギクリとする。


「二人とも耳が早いですね」


……何の話?
私が思っている話とは違うようだ。

沙月と顔を見合わせた。


「おっと、今日はおにぎりにサンドイッチですか。一ついただきま~す」


入江くんがハムとチーズのサンドイッチを指先でつまんでかぶりつく。


「立花さん、何かあったの?」

「え? 今二人でその話をしてたんじゃなかったんですか? やけに早いなーとは思ったんですけど」


早いって、何が……?

沙月がチラリと私を見て、グイと入江くんを引き寄せる。


「詳しく話しなさい」


耳に唇を近づけ、沙月がドスをきかせた。

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