立花課長は今日も不機嫌
やっぱりそうなのだ。
私のことが原因で、立花さんが人事から外される……。
このままいけば、次期人事部長だったはずが。
同じ嘘を吐くなら、プリマベーラの杏奈だと見抜かれたときに、徹底的にシラを切り通せばよかった。
そうすれば、立花さんは何も知らなかったことになったのに。
立場を脅かされることなんてなかったのに。
後悔に苛まれる。
「でも、どうしてそんなこと、入江くんが知ってるの? 内部情報なんでしょ? まだ告示だってされてないし」
「人事部に同期のヤツがいるんで」
「そんな大事なこと、私たちにあっさり話しちゃってよかったの?」
「……ですよね」
沙月に言われた入江くんが、急に不安そうな表情になる。