立花課長は今日も不機嫌
第4章
①後輩に脅された夜
「今日もありがとうございました」
バニーちゃんスタイルのまま、店先へと出る。
このところ毎晩のように通ってきてくれている、岩瀬さんのお見送りだった。
「いえいえ、ほんともう、僕の方こそ通いつめてしまってすみません」
照れくさそうに頭を掻く。
「すみませんだなんて。岩瀬さんだけですから、私のことを指名してくれるのなんて」
「そうなんですか!? 杏奈さんほどの女性が!?」
贔屓目にもほどがある。
岩瀬さんは、私のことを買いかぶりすぎだ。
「でも、なんだか独り占めできている気分で、僕も嬉しいです。――って、すみません、何言ってるんだ僕は全く……」
岩瀬さんは顔を真っ赤にして何度も謝るのだった。