立花課長は今日も不機嫌
②意外な二人の再会
「ひとつ聞いてもいいですか?」
入江くんに後ろからそう声を掛けられたのは、自販機コーナーで冷えたミルクティを買おうかとコインを入れたときのことだった。
まるで私が席を立つのを見計らっていたかのようなタイミング。
声を潜めてのっそりと登場した入江くんに心臓が止まりかけた。
「……びっくりしたじゃない」
「すみません」
人の気配はなかったし、いつも騒がしい入江くんが静かに現れるなんてことは、今まで一度もなかったのだから。
「それで、聞きたいことって?」
「杏奈さんと立花さんって付き合ってるんですか?」
「――え!?」
驚愕の質問に、つい大きな声が出る。
次の瞬間、自販機からコインが返却される音がした。
いつまでもボタンを押さない私に業を煮やしたらしい。