立花課長は今日も不機嫌
「隠さなくてもいいじゃないですか」
「いや、隠す隠さないじゃなくてね、」
小突いてきた入江くんを押し返す。
「そうじゃなきゃ、杏奈さんを庇ったりするはずないですし」
「勘違いしないで」
立花さんの口癖が移ってしまった。
「本当に違うの」
確かに庇ってくれたことに変わりはないけれど、それは、立花さんが自分の立場を守るため。
結局は、それが仇になってしまったのだけれど……。
「そうなんですか? この前も、あの店で俺を先に帰したりするから、てっきりそうなのかと思いましたよ」
「私の完全な片思いだから」
私の口ときたら、どうしてこうなんだろう。
ついうっかり白状してしまって、顔が一気に熱くなる。