立花課長は今日も不機嫌
どことなくぎこちない様子の良樹さんが、「どうぞ」とカウンターを手で指し示す。
「……ありがと」
聞き取れないほどの小さい声。
霧子さんも良樹さんに負けないくらい、ぎこちなかった。
その隣に私も腰を下ろす。
二人とも変だ。
「何にいたしましょうか」
引き留めたはいいものの、何か事情でもあるのか、良樹さんは霧子さんじゃなく私の方だけを向いて尋ねた。
「えっと……」
霧子さんの方をチラリと見る。
「ギムレット」
霧子さんが短く答えた。
それじゃ、私は……
「いつもいただいてるキールをください」
お願いすると、椅子の背もたれに寄りかかった。