立花課長は今日も不機嫌
良樹さんは、いつものように「かしこまりましたぁ」とニッコリ言うわけでもなく、静かにカクテルを作り始める。
その様子をじっと見つめる霧子さん。
……この二人に、一体何があったんだろう。
聞きたいけれど、聞けるような雰囲気ではなく。
二人を交互に見ながら、黙っているばかりの私。
なんだかとっても重苦しい。
こんなことならば、霧子さんが他のお店にしようと提案したときに、素直に従えばよかった。
なんてことを考えるほどにいたたまれない空気だった。
作り終えたカクテルを良樹さんが前へ二つ置くと
「久しぶりね」
霧子さんがやっと言葉を発した。