立花課長は今日も不機嫌
ポツリと呟くと
「女性に魅力を感じないってね」
霧子さんは、そのまま良樹さんを上目づかいに軽く睨んだ。
でもそこには、悪意があるわけじゃなく、どちらかと言えば、優しく見つめる延長上にある目つきだった。
「……まだ怒ってる?」
良樹さんが両手を胸の前で組んで、恐る恐る霧子さんに尋ねる。
「怒りなんて、そんなに持続するものじゃないわ」
その言葉に、ほっと胸を撫で下ろす良樹さん。
「ほんとに悪いことをしたと思ってるわ」
「……もういいのよ、昔のことだしね」
別れの場面が修羅場だったのかと、余計な妄想をしてしまった。
そんな二人のやり取りを聞いていて、ふと思い出したことがあった。