立花課長は今日も不機嫌

「それはもう、すっごい勢いだったんだから」


良樹さんがいつものごとく、おばちゃんのように手首にスナップをきかせる。


「霧子と付き合えば、もしかしたら普通の男に戻れるかもしれないと思ったのよね。でも、結局ダメで」

「女に興味が持てないって振られたというわけ。そう言われちゃえば、もうどうすることもできないでしょう?」


……確かに。
頑張ればどうにかなる問題じゃない。

根本的な嗜好が違うのだから。


「良樹の心が女なら、私はそれに負けないくらいの女になってやるわ! って啖呵を切って今に至る、という感じかしら」

「で、杏奈ちゃんはどう思う?」


良樹さんが突然私に振る。


「……どう思うって、何をですか?」

「やぁね、霧子と私と、どっちがより女性らしい?」

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