立花課長は今日も不機嫌
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恒例になりつつある、ひと気のない休憩室。
珍しくお弁当を作ってきてくれた沙月が、三段にも積み上げた大きな重箱の蓋を次から次へと開けていくごとに、入江くんの口からは感嘆の声ばかりが漏れていく。
「すごいですねぇ、沙月さん。一体何時起きですか?」
「4時」
「え!?」
何でもないことのないように沙月が答える。
さすがにそれには私もびっくりして、入江くんと二人で驚いてしまった。
「どうしたの? 突然なんで?」
「ほんとですよ。身体の具合でも悪いんじゃないですか?」
朝が弱いという話は聞いたことがないにしても、4時なんて、この時期やっと空が白み始める頃だ。
「身体は絶好調よ。ちょっと眠いけどね」