立花課長は今日も不機嫌

「当り前じゃない。いつもお気楽で呑気な杏奈に溜息は似合わないし」


嬉しい言葉なのか、悲しむべき言葉なのか、分からなくなってくる。

入江くんの取り皿がいっぱいになると、今度は私にまで取り分けてくれたのだった。


「それで、どうなの? 本当は何か新情報があるんじゃない?」

「――えっ……」


沙月に顔を覗き込まれて、入江くんが言葉を詰まらせる。


やっぱり何か隠してる?


目を泳がせて、しきりに瞬きを繰り返す。
怪しさ満載だ。


「しらばっくれるつもりなら、これはおあずけね」

「わー! ちょっと待ってくださいよ!」


皿を取り上げられた入江くんが大慌てで引き留める。


「じゃ、話す?」


それじゃ脅迫と同じだ。

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